実際に保育士が相談を受けやすい保護者からの悩み・困りをご紹介します

2022.08.09

保育士は子どもたちのお世話のみでなく、家族支援を行うことも重要です。
実際保護者から相談や悩みを聞くことは多くありますよね。子育てに悩みはつきものです。保護者にとって子どもが保育園や幼稚園に通うようになると、今までとは違った心配事や不安も多く出てきます。保護者は保育園や幼稚園に対して常に不安や心配をしているわけではありません。

実際幼稚園で勤めていたころは、保護者が何かのタイミングで心配になるきっかけがあり、保育士に相談をすることが多かったです。

このコラムでは実際に保育士が相談を受けやすい保護者からの悩み・困りをご紹介します。

保護者が気になるタイミング

保護者はどういったタイミングで気になり始めるのかご紹介します。

周りが積極的、好奇心旺盛だった時

周りの友達が活発だと、自分の子どもは活発な友達の輪の中に入り意志を伝えられているのか、困ったことがあれば自分から先生に話せているのかなど気になります。仲良しのお友達同士でも親からすると心配になります。

懇談・参観の行事の時

参観や行事では唯一保護者に普段の子ども達の様子を見てもらえる場です。普段とは違った状況に静かになる子どもや、お母さんが来たことに興奮してなかなか集中できない子もいます。親からすると周りと差を感じてしまう方もおられます。

子どもの一言

家に帰ってからいろいろ悩んでいることを話したり、子どもはふとしたタイミングで大事なことを言っています。
保育士になかなか言えづにいるケースもあります

周りの保護者からの一言

保護者さんは情報の発信が早いです。なので、園であった話や子ども達の情報もすぐに耳に入ってきます。

保護者の悩み・理由

良くあるケースをもとに保護者から寄せられる相談内容を紹介します。まず実際に保育士が受けやすい相談をご紹介していきましょう。

イヤイヤ期突入

2歳頃は自己主張が出始めますが体や言葉の発達がまだ未熟なので「やりたいのにできない」ことに子ども自身がイライラし、いやいやになります。そういった時期にどうしてあげたらいいのかわからない。

食事はきちんと食べているか

だんだんと味や触感などに好き嫌いが出てきます。家では食べることに時間がかかるので食べやすい物や好きな物を出すことが多いため、給食ではしっかり食べているか心配。

友達と仲良くしているか

やはり一番多く相談があったのは友達関係でした。だんだん学年が上がるにつれて人間関係で周囲になじめているかなど気になります。また、友達同士で喧嘩など手を出したりしていないか心配。

言葉の発達

こちらも多くありました。だんだん自分の意志が伝えられるようになり友達とも意思疎通できますが、活舌や発音がうまくできないということで療育に悩んでいる。

おむつが取れない

排泄面に関しては、周りの子どもと比べてしまい悩んでいる。周りはだんだんとパンツにかわっているので自分の子どもはとれるのか心配。

落ち着きがない

家では人の話を全然聞かないといので、園ではきちんとできているか不安。集中力がないのでみんなと同じペースで取り組めているか不安。

お泊り保育

お母さんとお父さんと離れて寝たことがないので、1日園で過ごすことに不安と心配でいっぱい。

保育士の実例

私が実際に勤めていた園であった相談をご紹介します。

子どもの発達に関するケース

活舌が悪い
あごの力が弱かったり、小さいころから活舌が悪かったり、年長になってからも活舌が悪い子がいました。保護者は就学に向けて新たに心配や不安な気持ちになります。小学校へ行って友達とうまく関われるのか不安な声がありました。就学前になると園児の入学する学校としっかりと引継ぎを行い、子どもの様子や保護者の心配事などを情報を共有します。そうすることによって、小学校側もしっかりとした子どもに合った対応をしてくれます。保護者にとっても安心です。

なかなか身長が伸びない
幼稚園では毎月身長体重を測っていました。身長は本当に個人差があります。急に年中になり伸び始める子、年長の後半にぐんと伸びる子、小学校に行ってから伸びる子といます。初めのころは背が低いと周りと比べてしまうこともありますが、身長に関しては焦らず様子を見てみるのもいいかもしれません。すごく気になる方は専門機関に受診をしていました。

生活面で悩むケース

洗濯物が間に合わない
洗濯に間に合わず、幼稚園で体操服を貸してくださいという方もいました。幼稚園では体操服に着替えているのですが用意する時間が無かったり忘れていたりで子どもが服を借りるということもありました。仕事と子育ての両立は大変です。相談を受けたときは具体的な方法を考えるよりも先に、状況の大変さや気持ちを受け止め、共感することが何より重要です。

朝早起きのお弁当がつらい
1人目の子どもというのはいろいろ試行錯誤しながら、親も一緒に成長をしていきます。お弁当に気を遣う方もいらっしゃり、早朝から作り身体を崩す保護者もいました。子ども達の健康はもちろん、親がいるからこそ子どもは成長していきます。まずは自分の体も大事にしながら、少し気を楽に子育てができるよう先生同士で共有し保護者のサポートをしていました。

子どもの言動、行動に悩むケース

下品な言葉や汚い言葉を使う
子どもは吸収が早いです。テレビで聞いた言葉、お兄さんお姉さんから聞いた言葉などすぐに真似て使ってみます。下品な言葉を言って友達同士で楽しんでいる姿はよく見るのではないでしょうか。一回一回恥ずかしい言葉というのを伝えるようにしていました。また、人に言ってはいけない言葉などは、必ず注意していました。言って良い言葉と悪い言葉も自分で判断できるようになっていきます。

太鼓が怖いので合奏で太鼓が使えません
合奏で使う太鼓の音が怖いので幼稚園に行きたくない子がいました。相談を受けてから毎日太鼓に挨拶したり、優しく触ってみたり、太鼓に触ることを1日1回と決めて先生と一緒に近くに行ったり恐怖感を徐々になくせるようにしていました。保護者も協力的だったので、お家で太鼓の動画を見たりしながら工夫をして苦手意識を取り除けるようにしていました。

保護者への対応

保育士にとって、保護者から受けた相談への対応は信頼関係に大きく結びついていきます。また場合によってはトラブルにもなる場合もあります。その対応には十分な配慮が求められます。

保護者自身が悩みの内容をはっきりと自覚できていないで、「大変、しんどい」と訴えている場合もあります。しっかりとコミュニケーションを取るなかで、悩みの中心や背景を整理し、そのことを保護者が自覚できるように促していきましょう。

保護者の中には「じつは話がしたかったけれど、なかなか話し出せなかった」という方もいらっしゃると思います。保育士さんが保護者に寄り添ってこちらから話を聞くことも大切です。
人によってはあまり自分のことを聞かれたくないという方もいるので、程よい距離を保ちながら接するようにしましょう。

気を付けるポイント

マイナスな発言はしない

子どもにとってマイナスになる発言は意識して気を付けましょう。子ども達はいろいろな話をして帰ります。楽しかった話や何遊びをしたか、また先生たちの言動行動をよく子どもは見ています。子ども達から保護者に伝わる場合もあれば、日ごろ発言を意識していないことで、無意識に保護者の前でもマイナスな発言をしてしまいます。保護者にとってマイナスに捉えられてしまう話は信頼関係を築いてから柔らかく伝えられるように言葉の引き出しをたくさん持っておくとよいでしょう。

否定しない

保護者が言っていることを否定しないようにしましょう。一度受け入れた上で、こちらの意見や考えを話すようにしましょう。すべての親が子育てに自信があるわけじゃありません。親として頑張っている姿を認め、保護者の大変さを共感してあげながら前向きに子育てできるよう言葉をかけてあげましょう。

言葉遣い

だんだんと信頼関係ができてきて、親しみやすい保護者もいると思います。話しやすい雰囲気は大事ですが気が緩んでしまい友だちに接する言葉遣いになるのは、人によっては不快に感じることもあるので気をつけるようにしましょう。日ごろから先生として正しい言葉遣いを心掛けましょう。

表情

保護者も子どもも表情をよく見ています。先生の雰囲気は表情から汲み取れます。保護者から相談がある場合は表情にも意識してみましょう。心身になって話を聞く姿勢はどの親からしても話して良かったというふうに感じてもらえます。

まとめ

私は幼稚園で勤め、2歳児から5歳児まで担任をしてきました。学年が上がるごとに保護者の悩みや相談の内容は変わってきます。 保護者にとって子ども達が幼稚園で1日何をしたのか、どんなことをして遊んだのか気になります。初めて子どもを預ける親は特に慎重になり、色々なことが気になり教えてほしいことが沢山でてきます。

保護者とこまめにやり取りすることで保護者の安心につながります。一人ひとり性格も違うので初めのころは記録ノートを作り些細なことでも園児の一日の褒めポイントや、成長がみられたことは記録し直接保護者に伝えられるようにしていました。

また子どもの様子が家と幼稚園では全然違うと言われる保護者さんも多くいました。 家に帰ってからその日にあったことを話す子もいれば、話さない子もいます。何も話さないということは幼稚園を楽しめていないという風に捉えてしまう方もいます。保育士は、こういった不安のある保護者に対して特に意識して声を掛け、子どもの園での様子を具体的に伝えるようにしましょう。

保護者の相談内容は様々です、すべての返事に完璧な答えがあるわけではありません、失敗したとしてもその経験を活かして対応していかなければなりません。

私は相談を受けることもありましたが、私が子ども達の事に対して質問し保護者に教えていただく事も沢山ありました。お母さんたちの方が子育てで色々なことを経験し、体験している分教えてもらうことで自分の引き出しを多くしていき、スキルアップにつなげていました。

一人で難しいときは、他の保育士さんや園長先生に相談しアドバイスをもらい、新たな見方ができないか考え、次に活かしていきましょう。何事も経験ですので、ひとつずつ丁寧に対処していきましょう。

 

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