大阪にある企業主導型保育園はなぜ働きやすい職場なのか解説します
「企業主導型保育園」という保育園をみなさん知っていますか?
「保育園は自治体が運営している公立が多い」「私立保育園についても運営は社会福祉法人などがほとんど」「病院が働いている看護師のために運営しているのは知っている」、そういう方が多いのではないでしょうか?
しかし、最近では「企業主導型」という新しい形の保育園が国の政策で認められるようになってきました。「企業と保育園って、会社の中にある保育園のことでしょう」、実はみなさんが知っているこれは「事業所内保育園」と呼ばれるものです。
今回は様々な形態の保育園の中でも企業主導型保育園が働きやすいこと、そして大阪の企業主導型保育園はいい職場であることを解説したいと思います。ぜひみなさんの働く保育園として、企業主導型保育園を候補に入れてみたください。
目次
企業主導型保育園と事業所内保育園は違う
大手企業や大病院などには保育園が併設されていることがあります。これはみなさんご存知だと思います。しかし、この多くは「事業所内保育園」と呼ばれるもので、今回取り扱う「企業主導型保育園」とは制度として異なるものです。
企業主導型保育園は平静28年にできた新しい制度に基づく保育園で、それまでの事業所内保育園とは異なるシステムによる保育園です。就労形態の多様化と待機児童の増加が問題となる中で、保育サービスの拡大、待機児童の解消を促し、仕事と子育てとの両立を実現するために新しくできた保育園の形です。
以下でその違いを表にまとめてみました。
企業主導型保育園 |
事業所内保育園 |
|
目的 |
企業が自社の従業員のために保育園を開設する |
従業員の子供に加えて地域のために保育園を開設する |
認可 |
必要なし(無認可保育園) |
市区町村の認可が必要 |
助成金 |
最大95%まで支給 |
大企業は1/3、中小企業は2/3まで助成 |
保育士資格 |
スタッフの半数以上が保育士 |
子供の数19名までは半数以上が保育士、20名以上は全員保育士 |
子供の年齢 |
0歳児~5歳児(乳児・幼児) |
0歳児~2歳児(乳児のみ) |
地域の子供(非従業員の子供)の受け入れ |
定員の2分の1まで可能(義務ではない) |
定員の4分の1は義務として受け入れる |
大きな違いは以上になります。働く際に影響を受けそうなのが、子供の年齢と地域の子供の受け入れ可否です。
特に企業主導型保育園の場合、乳児に加えて幼児も預かります。一方、事業所内保育園の場合は乳児だけを預かります。保育士によって、乳児担当が得意、幼児担当が得意という違いがあり、乳児だけを担当したい人は企業主導型保育園ではなく事業所内保育園の保育士を目指された方がいいでしょう。
また、企業主導型保育園の場合、地域の子供を受け入れる義務はありません。つまり、保育園を開設した企業の従業員のお子さんだけを預かるところもあります。大企業であれば、しつけが行き届いている従業員の子供だけを相手にすればよく、トラブルも少ないかもしれません。
任意に地域の住民の子供を定員の2分の1まで預かってもよい、という規定になります。一方、事業所内保育園の場合、地域に開かれていることが条件なので、地域枠がありその地域の子供を預かる義務があります。地域の子供はダメだということではありませんが、複雑な家庭の事情を持つ子供もいるかもしれませんし、迎えに来るのが遅くなるようなケースも考えられます。
一定の枠にはまっているのが企業主導型保育園になります。
企業主導型保育園は働きやすい!保育士にとってのメリットとは?
企業主導型保育園の特徴について、似ている事業所内保育園と比較をしてみました。似ているようで結構違うことがお分かりいただけたことと思います。そこで、数多い保育園の中でも特に企業主導型保育園で働くメリットは何でしょうか?考えてみましょう。
助成金が国から支給されるので保育園の運営が安定している
企業主導型保育園は、認可保育園並みの助成金が国から支給されます。公立保育園並みといってもいでしょう。そのため、保育園の運営や内部環境整備のための資金が多くあり、結果として、安定経営が可能になっています。
つまり、資金繰りが悪化して急に閉園(倒産)するリスクがないので、安心して保育士は働くことができます。
新しい園舎が多く働くモチベーションがアップ
企業主導型保育園は平成28年からできた新しい制度なので、園舎についても新しいところが多く、昔ながらの保育園と比較して働きやすい環境になっています。
駅近くにあるところも多く(従業員が預けやすい迎えやすい場所)、アクセスも良好で、通期しやすい環境にあるところが多いです。何もない住宅地や奥地ではない場所にあるのが、企業主導型保育園の大きな特徴でありメリットになります。
給与が多く福利厚生が充実している
企業主導型保育園の保育士の待遇は、運営している企業に準じているところが多いです。保育士の待遇についていろいろ言及されますが、少なくとも企業主導型保育園については、待遇面では大きな心配はなさそうです。
給与等だけではなく、福利厚生についても、その企業のものが利用できる可能性があります。有名企業ならば福利厚生(保養所、リゾート割引、様々な優遇プラン)はかなりいいですよね。それを保育士も享受することができます。
また、預かっている子供がその企業だけならば、企業が休みの日は基本的に保育園も安みです。つまり完全週休二日制の企業が運営している保育園ならば、土曜出勤もないということです。年末年始やお盆なども、その企業カレンダーに対応するので、普通の保育園よりもはるかに休める、労働環境が良いところがあります。
新規開園の保育園も多くオープニングスタッフになれる
新しく開園するところが多いのも企業主導型保育園の特徴です。オープニングスタッフになれば、新しい保育園の歴史を1から作り上げていくことができやりがいがあります。
また、人間関係がすでにある状態ではないので、上下関係などもなくストレスも抱えることが少なくなります。新規スタッフとして働けるというのはかなりメリットがあります。
保護者の送迎がスムーズにできる
保護者が勤務している企業が近くになるので、送迎がスムーズです。遠方に勤務している保護者がいないので、子供が熱を出したりけがをしたりしたときなど、連絡をしやすい環境にあります。すぐに迎えに来てもらい、子供を保護者に渡すことができるというのは、保育士として精神的にもかなり楽に働くことができます。
企業主導型保育園は園児の数が少ないところもある
企業主導型保育園の特徴として、地域の子供を受け入れる義務がありません。したがって、定員よりも少ない子供の世話をすればOKというケースもあります。
少人数制で子供一人ひとりに目が行き届きます。もちろん、少なければ様々な負担も減り、精神的にも肉体的にも楽です。
後述のように園児が少なすぎてリストラされるリスクはありますが、大企業の保育園ならばそうしたこともないでしょう。企業とすれば自前の保育園があることのメリットは大きく、余剰的な保育士を雇うことが「遊び」ができ、何かあった時にスムーズにいくからです。
園児が少なく、保育士のストレスが減ることも企業主導型保育園の大きなメリットになります。
自分の子供も企業枠で預けられる
もし自分のお子さんも保育園に預ける必要がある場合、企業枠を利用して、従業員の子供と同じようにその企業主導型保育園に預けることができます。定員いっぱいになることはありませんから、ほぼ確実にお子さんを保育園に預けて働くことができます。
送迎も自分の職場と一緒なのでとても楽です。
メリットばかりではない!?企業主導型保育園で働く際のデメリットとは?
企業主導型保育園で働く場合メリットが大きいのですが、一方で注意しなければいけないこともあります。
無認可保育園であることには変わりない
補助金などが手厚く出ますが、設置認可の基準は認可保育園と比べて緩く、無認可保育園並みです。したがって、思わぬところに瑕疵があるかもしれません。
誰もが知っている大企業が設置した保育園では、そうした瑕疵もないかもしれませんが、中小企業の場合、設置にあたり大きなミスがあるかもしれません。いざ働いてみて、保育士の配置や施設の現状に足りない部分が見つかるかもしれません。
保育のプロでない人が園長などの立場で運営していると、保育士の待遇が悪い、保育に理解がなく、やめてしまう人が後を絶ちません。
実際にそうした事例が報告されています。
入所率「半分以下」相次ぐ 企業主導型保育所|朝日新聞
https://digital.asahi.com/articles/ASLCH760SLCHUTIL04Z.html
その辺をしっかりさせたいのであれば、通常の認可保育園や事業所内保育園にすべきです。
企業が倒産するリスク
保育園の経営だけならば補助金もあり、閉演するリスクは低いのですが、運営している企業そのものが倒産するリスクは0ではありません。
企業そのものが倒産してしまえば、従業員もいなくなり、保育園をやっていく意味がなくなるからです。当然、そこで雇われていた保育士は解雇されてしまいます。
定員が充足しておらず、保育士の立場が不安定
待機児童が増え、保育園が足りないということが叫ばれますが、企業主導型保育園の場合、地域の子供、外部の子供を受け入れる義務がありません。従業員の子供だけを受け入れている場合、定員に大きく満たず、当初予定していた保育士がいらなくなってしまうこともあります。
その場合リストラの可能性も0ではありませんし、給与など待遇面の悪化も予想されます。
大阪の企業主導型保育園は先進事例として優れています
大阪府、大阪市では現在様々な事業について見直しが行われていて、民間への委託が進んでいる都道府県の1つになります。
保育園事業についても「民にできることは民で」「民間活力の利用」を目指していて、企業主導型保育園はその方向性に合致した事業になります。大阪の企業主導型保育園は先進事例がいくつも生まれています。
コンサルティング会社を介した企業主導型保育園の提案
大阪市にある一般社団法人JOSは、大阪市と協力して、企業主導型保育事業のコンサルティングを行っています。
国は民間企業の保育事業への参入を後押ししていますが、介護や医療の現場では慢性的な人員不足に悩んでいます。仕事がきついということも大きな要因ですが、それに加えて、子供を産んだお母さんが子育てでなかなか復職できないという事情もあります。
そこで、一般社団法人JOSは、慢性的な人材不足に悩む介護団体や医療機関に対して、保育事業の提案を行っています。
企業主導型保育園は1社だけで設立することもできますし、複数の企業団体が協力して設置することも可能です。
- ●A障害者福祉法人
- ●B病院
- ●C老人福祉法人
の3社が協力して1つの企業主導型保育園を設置すれば、A~Cに在籍する従業員の方は子供を保育園に預けることができます。待機児童になる心配もなく、確実に預けられるので、復職もしやすいというわけです。
なかなか企業主導型保育園を設置するのをためらう企業もありますが、このように設置、運営についてトータルでサポートしてくれるコンサルティング団体があれば、設置に前向きになれます。
こうした仕組みで設置されている企業主導型保育園が大阪には多く、保育士の皆さんが企業主導型保育園で働けるチャンスも多くなっています。しっかりしたコンサルティングがあるので、途中で保育園を廃業することも少なく、雇用は安定しています。
参考:「企業主導型保育 公募/今年度2万人分」|高齢者住宅新聞
https://www.koureisha-jutaku.com/newspaper/synthesis/20200422_999_1/
ニチイ学館の企業主導型保育園を利用した「BaBee Mama」制度
大阪市にある株式会社ダイレクトマーケティングミックスでは、介護・福祉事業の最大手ニチイ学館とコラボをして「BaBee Mama」制度というものを作りました。
ニチイ学館が運営する企業主導型保育園を提携する企業、団体の社員が利用しやすくする制度です。数名の会社でも、「BaBee Mama」制度に加入していれば、企業主導型保育園を利用できます。
保育士の方も、バックグラウンドがニチイ学館ならば安心して働くことができます。「BaBee Mama」制度によって利用者も増え、それに伴い、保育士の募集も増えるので、企業主導型保育園で働くチャンスも増えています。
参考:「ダイレクトマーケティングミックス、ニチイ学館と「企業主導型保育事業拠点の利用に関する契約」を締結し、女性の職場復帰を支援する福利厚生制度「BaBee Mama」を開始」|PR TIMES
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000055.000037421.html
保育士支援事業
大阪では保育士不足を解消するためにいくつかの保育士支援事業が実施されています。企業主導型保育園で働く場合もこの制度が利用できることがありますので、問い合わせてみて下さい。また、保育園を運営する企業の家賃補助や福利厚生制度も利用できることがあります。
1 保育士宿舎借上げ支援事業
家賃を最大82,000円まで補助する制度です。借主は保育園で、保育士は毎月の給料から家賃を天引きされる形になります。
2 未就学児をもつ保育士に対する保育料一部貸付事業
お子さんがいらっしゃる保育士の場合、お子さんを保育園に預ける費用の一部を貸付する事業になります。
働きやすい大阪の企業主導型保育園を転職先の候補にしてください
企業主導型保育園は新しい制度で、今後も需要増加が見込まれるスタイルの保育園です。企業としても従業員の福利厚生のために保育園を整備することが求められるようになります。そのため、企業主導型保育園で働く保育士のニーズも上がり、これまでの保育園よりも待遇が良いところが増えるはずです。
特に大阪の場合、行政が積極的に企業主導型保育園を進めているので、待遇や就職の機会という面で他の自治体よりも優れています。
企業主導型保育園のメリットとデメリットをよく勘案したうえで、ぜひ転職の候補にしていただければと思います。